犬猫を食べる
前回の米大統領選討論会もどちらがゴルフが上手いかを激論するなど奇妙なやりとりが満載でしたが、今回の討論会におけるトランプ氏の「不法移民は犬猫を食べている」も不思議でした。これが世界一の権力者である米大統領を決めるディベートなのは、ポストトゥルースの世の中を象徴しているように見えます。
そもそも誰でもスマホとSNSで簡単に発信ができるようになったことで、情報量が膨大に増えました。結果、その情報をアルゴリズムがキュレーションして見せるようになりました。アルゴリズムは、真実でない情報でも人々の反応がよければプッシュするのだとすると、そうした情報が目に入りやすくなっているのかもしれません。
今後、AIがコンテンツを作るようになると、こうした方向性はさらに加速すると思います。そこでは、AIが作ったコンテンツをアルゴリズムがキュレーションしており、全体像を把握するのが不可能な複雑な世界、ある種、未開拓のジャングルのようなものになっていくでしょう。
人類は、長い期間をかけて、複雑で理解し難い世界を科学の力で解き明かして、少しずつ把握・コントロールが可能な整備された世界へと作り替えてきましたが、生成AIやアルゴリズムによって、また新しく別の複雑で理解し難い世界が生まれており、そうした中で生きるように適応していくのかもしれません。
※ 本ニュースレターの内容は個人的な見解であり、何らかの組織の意見を代表するものではありません。
万代 惇史 / Atsushi Mandai
普段はマネックスグループで新規事業などを担当しています。ブレスト、ディスカッション、壁打ち、雑談、事業提携、何でもお気軽にお声がけください。
X:@atsushi_mandai / E-mail atsushi.mandai.1991@gmail.com
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