政府「運送や建設、介護職にリスキリングを」
本日、日経新聞に政府がリスキリングを支援するという記事があったのですが、興味深い内容でした。
岸田文雄首相は4日、働き手のリスキリング(学び直し)を後押しするため「教育訓練給付」制度を拡充すると表明した。自動車運送や建設、介護などの業界団体による民間検定を政府が認定し、受験講座について「今秋から新たに給付対象に追加し、支援する」と述べた。
一般的にリスキリングというと、例えばAIが使えるようになるとか、DX人材になるとか、プログラミングができるとか、そういうイメージだと思います。しかし、今回政府がリスキリングの対象として表明したのは、そうした分野ではなく、自動車運送、建設、介護といった、物理的に人手が必要な分野です。
自動車運送も建設も、残業規制などが入り、2024年問題と言われていますが、人手不足です。介護は、給与をあげれば人はもっと増えるのではないかという気はしますが、しかし人手不足です。
結局、AIやDXによって、ホワイトカラーの事務職などはどんどん自動化することができ、一方で物理的に人手が必要な職種は簡単には供給サイドを自動化できないので、実はそうした分野で人手が不足しており、そちらに人材が流れてもらう必要があると政府が考えていることが分かります。
もう少し長期のスパンで見れば、自動運転もあるし、3Dプリンターで家を建てるようになるだろうし、介護ロボットも出てくるでしょうから、この辺りの人手不足感も解消されるかもしれません。でも、政府が全く不合理な政策を打ち出すとは思えないので、やはり短期ではこうした職種に人材が移動しないと、国家全体のバランスとしては困るということでしょう。
これって、リスキリングとか生涯学習とか、そういうことが語られるときのイメージとはだいぶ実態が違いますが、いま社会や世間がどうなっているかの正しい認識・地図を持つための材料としては示唆に富むものでした。
※ 本ニュースレターの内容は個人的な見解であり、何らかの組織の意見を代表するものではありません。
万代 惇史 / Atsushi Mandai
普段はマネックスグループで新規事業などを担当しています。ブレスト、ディスカッション、壁打ち、雑談、事業提携、何でもお気軽にお声がけください。
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