医療機関にゼロゼロ融資の返済期限が迫る

地域医療をどのようにして維持するか
Atsushi Mandai 2024.09.11
誰でも
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新型コロナ禍の中で、福祉医療機構(国)は医療・福祉施設向けに実質無利子・無担保の融資(ゼロゼロ融資)を提供していました。このゼロゼロ融資の返済が来年2025年の夏頃にピークを迎えるそうです。

では、どのくらいの金額が融資されたのかというと、なんと2兆円以上。今はゼロ金利なわけですが、金利が2%になると年間の利払いは400億円、金利が3%だと600億円ですから、そこそこの規模です。

そうした影響で2020年頃は少なかった医療機関の破綻も2024年に入って増えており、日経新聞によると年間で20件弱ほど。介護事業者の破綻は80件ほど。帝国データバンクによると、病院、診療所、歯科をあわせると46件の倒産があり、年間で70件ペースだとのこと。

施設も老朽化していて、コロナを経て外来も減っていて、キャッシュフローが回らない、という倒産が多いようです。

ひとつは、医療機関の物品を売却して返済に充て、リースバックするという手があるかもしれませんが、施設が老朽化しているなら、それほどのお金にはならないかもしれません。倒産・閉鎖してしまうと、地域の医療が細るという意味では社会的には問題でしょう。

そうすると、他の医療機関によるM&Aかという話になりますが、赤字であることに変わりはないので、結局のところ、どうすれば地域の医療機関が黒字化するかということを考えなければいけません。

外来客が少ないのであれば、やはり地域の医療機関の規模は縮小せざるを得ないのでしょう。その分、中央の病院との連携を強めて、オンライン診療なども絡めて、提供できる医療サービスのラインナップを維持するとかでしょうか。

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※ 本ニュースレターの内容は個人的な見解であり、何らかの組織の意見を代表するものではありません。

万代 惇史 / Atsushi Mandai普段はマネックスグループで新規事業などを担当しています。ブレスト、ディスカッション、壁打ち、雑談、事業提携、何でもお気軽にお声がけください。

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