目標ROEとM&Aにおける許容マルチプル

自社の目標ROEと対象企業のROEから、M&Aにおける許容マルチプルを算出する方法
Atsushi Mandai 2025.10.22
誰でも
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目標ROEが10%の会社があったとします。

この会社は、株主資本を100アロケーションするなら、そこから毎年10の利益を生み出すことを目指す必要があるということになります。

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さて、この会社がM&Aで他社を買収するとき、許容されるマルチプルは何倍でしょうか。

シンプルにするために全てエクイティで買収資金を賄うとすれば、利益10の会社を100以内で買えばよいので、10倍ということになるでしょう。

ここまではシンプルです。

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次に、買収後にシナジーやコストセンターの共通化によって、利益が増える場合を考えます。例えば、買収後に利益が10から15に増える場合、150で買うことができるので、許容マルチプルは15倍となると思います。

まだまだシンプルです。

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最後に、買収先のROEを考えます。

まず、買収先のROEが目標ROEより低い場合。例えば、利益は10だけれど、ROEが5%の場合。

この買収自体はPER10倍であれば、株主資本を10%で回せていることになるので悪いわけではありません。しかし、買収先のROEが5%であるため、利益をその事業に再投資することはできません。そうすると、買収した事業が成長していくことはなく、単に毎年10の利益を生み出すだけということになります。

ほぼ利回り10%の債券を買っているようなイメージになるので、会社の成長に寄与するM&Aだとは言い難いと思います。

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次に、買収先のROEが目標ROEと同等以上の場合。例えば、利益が10で、ROEが12%の場合。

この場合、買収後に利益をその事業に再投資することで追加で12%の利回りが得られることになります。

そうすると、マルチプル10倍で買った場合、最初の10%の利回りだけでなく、その後に12%の利回りを得られる機会も手にしたことになります。

この場合、マルチプル10倍以上で買ったとしても、再投資できる金額次第では、目標ROEに適うお金の使い方になります。

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ここまでは、例示であったため、さらに一般化したいと思います。

投資に利用した資本のROE
=(買収後利益 +(再投資可能金額 × 投資先ROE))/(買収時利益 × マルチプル)+ 再投資可能金額

再投資可能金額については、100年掛かって再投資しますというのでは意味がないので、現実的には、この先の数年間で再投資できる金額をベースに判断することになると思います。

現在利益が10、買収後利益が12、ROEが18%、今後数年で30を再投資できる会社を、マルチプル15倍で買収した場合を計算してみます。

(12 +(30 × 18%))/((10 × 15)+ 30)= 9.66%

つまり、目標ROEが10%であれば、この投資はギリギリ正当化されないということになります。

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では、M&Aにおける許容マルチプルはいくらなのでしょうか。

許容マルチプルベースの式に変形すると以下になります。

許容マルチプル
=(買収後利益 + 再投資可能金額 ×(買収先ROE − 目標ROE))/(目標ROE × 買収時利益)

先ほどのケースを当てはめると、以下のようになります。

許容マルチプル
= (12 + 30 ×(18% - 10%))/(10% × 10)= 14.4倍

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あくまでもひとつの目安ですが、以上、頭の整理でした。

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※ 本ニュースレターの内容は個人的な見解であり、何らかの組織の意見を代表するものではありません。

万代 惇史 / Atsushi Mandai
普段はマネックスグループで新規事業や投資を担当しています。情報交換、ご挨拶、ブレスト、ディスカッション、壁打ち、雑談、事業提携、何でもお気軽にお声がけください。

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