アルファベット傘下のロボタクシー「Waymo」、半年で利用が週45万ライドに倍増
アルファベット傘下「Waymo」のロボタクシー事業について、投資会社Tiger Globalの投資家向けレターの流出により、「週45万回」という最新の利用規模が明らかになりました。Waymo自身が今年5月時点で公表していた数字は「週25万回の有料ライド」だったので、この半年弱でほぼ倍増している計算です。
サービスは現時点でフェニックス、サンフランシスコ湾岸、ロサンゼルス、オースティンなど複数都市で商用展開されており、2026年にはダラス、マイアミ、ワシントンD.C.など新都市にも拡大する計画が、Waymoやロイターの報道で示されています。週45万回ということは、1日あたり約6〜7万回の完全自動運転タクシーの乗車が現実に行われているということで、「実証段階」から「スケール段階」に入りつつあることを示すデータポイントと言えます。
もっとも、規模感としてはまだライドシェア大手とは桁が違います。Uberは1日3,000万回超のトリップをこなしており、そのうちのごく一部だけが自動運転との連携です。そのため、ライドシェア大手とは天と地ほどの差があるものの、「人間ドライバーではないライド」が週45万回まで来た、というのが今回のニュースのポイントでしょう。
ビジネス面のイメージを掴むために、仮に1ライドあたり平均運賃を10〜15ドルと仮定すると、
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45万回/週 × 52週 = 約2,340万回/年
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売上規模は概ね2.3〜3.5億ドル(約350〜500億円、1ドル=150円換算) といったレンジ感になります。あくまで粗い試算ですが、「まだAlphabet全体から見れば小さいが、単独事業としては無視できない規模」に育ちつつあると捉えられます。
市場全体の文脈を見ると、ロボタクシー市場はまだ20〜30億ドル未満の小さなマーケットながら、2030年には400〜1,000億ドル規模へ拡大するという予測が複数の調査会社から出ています(2025〜2030年の年平均成長率70〜90%台という非常に高い前提)。
その中で「すでに数十万回/週を自動運転で回している事業者」は世界的にも限られており、Waymoはその一角です。中国では百度の「Apollo Go」も週25万回規模に達したとされており、米中で先行するプレイヤーが明確になってきました。
競合環境を見ると、かつての有力プレイヤーGM Cruiseは、サンフランシスコでの事故をきっかけに2023年に全米での運行を停止し、2024年にかけて大幅縮小・親会社への吸収という流れになりました。Teslaは2025年にテキサス州オースティンで限定的なロボタクシートライアルを開始しましたが、走行動画を受けて米当局が調査を開始するなど、まだスケール段階には至っていません。
一方でWaymoは、ジャガーI-PACEやZeekr RTなどをベースにした専用EVロボタクシーを増車し、2026年までにフリートを約3,500台規模に増やす計画を公表。アリゾナ州メサにMagnaと組んだ専用工場を建設するなど、「車両を工場からそのままロボタクシーとして街に出す」体制づくりを進めています。
技術・安全面では、Waymoは自社データに基づき「人間ドライバーと比べて警察報告ベースの事故率を57%減少、けがを伴う事故は85%減少」といった効果を公表しており、投資家向けレターでも「人間より大幅に安全」と強調されています。ただし、2025年にはテキサス州オースティンでスクールバスの停止に適切に対応しなかった事案が複数発生し、ソフトウェアのリコールやNHTSA(米道路交通安全局)による調査対象にもなっています。「人間より安全」という主張と、リアルな現場での課題・リスクの両方が併存している点は、投資家としても意識しておく必要があります。
ロボタクシーはまだ「一足飛びに世界が変わる」段階ではありませんが、週45万回という数字は、Sカーブ立ち上がりの初期に入ったことを示すサインのひとつとも捉えられるのではないでしょうか。
万代 惇史(まんだい あつし)
マネックスグループ 執行役員(新規事業)/ マネックスベンチャーズ代表
情報交換や事業連携等、お気軽にご連絡ください。
atsushi.mandai.1991@gmail.com / atsushi_mandai@monex.co.jp
※ 本記事は筆者の個人的なメモであり、所属組織とは一切関係ありません。また、一部AIを用いて執筆しています。可能な限りファクトチェックをしていますが、気になる部分については、ぜひご自身でもご確認ください。
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