圧倒的ナンバーワンを実現する孫さんの戦略
最近、孫正義氏の『リーダーのための意思決定の極意』という本を読みました。
ソフトバンクというのは、パソコンソフトの卸売とパソコン雑誌から始まり、ヤフージャパン、ブロードバンド、携帯電話、決済ネットワーク、AIと、それぞれのタイミングと市場で勝ちきりながら、再現性を持って、どんどんメイン事業を規模の大きなものに切り替えてきた企業であり、既存事業を超えるような新規事業を生み出していくヒントはここにあると思ったからです。
その中で、僕が得たエッセンスは以下です。
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人を喜ばせるものであることが大事
まず、大前提として人を喜ばせるものであることが大事ということです。ユーザーのニーズがあり、「これがないと困る」と言ってもらえて、事業になる。逆境でもいろんな人が支えてくれる。事業が成長したときに、世の中がよくなる。そういうものでないと、事業として取り組む意味がないといえるでしょう。 -
高確率で勝てる領域を選ぶことが大事
孫さんは7割の勝率が見込めるものでないとやらないと言っています。特定の領域でナンバーワンの企業でなければ、大した利益もメリットも残らないといいます。これはその通りだと思います。徹底的な情報収集で(自分たちの資金力・人材・ノウハウを用いれば)ナンバーワンになれる領域を慎重に選んだ上で、そこで苛烈に勝負するというのがソフトバンクのスタイルといえるでしょう。孫さんの「勝ち癖がつく」というのは「高確率で勝てる市場が見抜けるようになる」×「どこまで苛烈に勝負しきればよいかが分かる」とも言い換えられるのではないでしょうか。 -
理念との一致が大事
これは昨日も書いたことですが、孫さんの「孫の二乗の兵法」という、彼の経営判断基準となる25項目の1つめは「道 = 経営理念」です。経営理念と一致しているものでないと、自分たちの優位性は出ないし、本気でやれないし、大きな投資ができない。それではナンバーワンになれない。 -
成長市場を選ぶことが大事
理念と一致していて、勝ち切れる市場を選んで、本気で投資・オペレーションをすると、その市場の覇者になります。そうしてせっかく覇者となった市場が縮小していくのか、それとも拡大していくのか。それによって全然そこから得られる果実が異なります。これから大きくなるけれど、まだまだ小さくて自分たちの力で勝ち切れる。そんな市場を選ぶことが肝要です。
ちなみに、孫さんの25項目の判断基準は「孫氏の兵法」と「ランチェスター戦略」を掛け合わせて編み出したらしいです。次はランチェスター戦略の本を読んでいます。
先日リリースした「MCB Web3カタログ」はWeb3関連の法人向けソリューションを提供している企業に特化した資料請求サイトです。現在、国内で最もたくさんのWeb3ソリューションの資料を掲載しています。この領域ではしっかりとナンバーワンになりたいと考えています。
全くゼロからのスタートアップであれば、最初は一人しかいないので、徹底的に選び抜いた上でひとつだけ市場を選んで勝負する必要があります。一方、ある程度の大企業であれば、資金や人材がいるので、ナンバーワンになれる確率が高い市場を見つけたら、(リソースが許す範囲で)見つけた数だけ参入できます。しっかりとナンバーワンになれる市場を見つけていきたいと思います。
※ 本ニュースレターの内容は個人的な見解であり、何らかの組織の意見を代表するものではありません。
万代 惇史 / Atsushi Mandai
普段はマネックスグループで新規事業などを担当しています。ブレスト、ディスカッション、壁打ち、雑談、事業提携、何でもお気軽にお声がけください。
X:@atsushi_mandai / E-mail atsushi.mandai.1991@gmail.com
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