資本コストとROEのアービトラージ

資本主義からみた企業経営
Atsushi Mandai 2024.07.10
誰でも
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資本市場において、企業にはエクイティのコストを上回るリターン(ROE)をあげることが求められます。簡単にいえば、その企業の株式に投資をしている投資家の期待リターンが6%であれば、6%以上のROEが求められるということです。

つまり、資本的な側面から抽象化した企業活動とは、エクイティの調達コストとROEの差分をアービトラージする存在だといえます。

そうすると、6%以上のリターンを生み出す投資先があるのであれば、その企業はどんどん株式を発行して資金を調達して、その投資からリターンをあげることが正しいことになります。もちろん、株主の持分が希薄化することなど、エクイティの調達にはデメリットも存在しますが、一旦はエクイティコストとROEの差分をアービトラージするという部分だけに着目します。

では、その企業がどんどん大きくなるとはどういうことでしょう。それはエクイティの調達コスト以上のリターンがあがる投資機会を見つけてきて、エクイティを調達して、そこに投資をするということでしょう。

この「投資機会を見つけてきて、エクイティで調達して投資をする」という企業の成長のあり方は、事業の戦略を立てたり、改善したり、成長させたりといった、一般的な企業活動のイメージとは随分と違います。しかし、こうしたスタイルもまた、企業を成長させる経営のひとつの解だといえます。

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※ 本ニュースレターの内容は個人的な見解であり、何らかの組織の意見を代表するものではありません。

万代 惇史 / Atsushi Mandai
普段はマネックスグループで新規事業などを担当しています。ブレスト、ディスカッション、壁打ち、雑談、事業提携、何でもお気軽にお声がけください。

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