規模こそがソリューションであるとき、調達の説得力が生まれる
僕が人生で一番聴いたアーティストは誰かということになれば、おそらくカニエ・ウェストになると思います。
そんなカニエのアルバムが、なぜあれほどの密度を持つのか。それは、世界中の一流ミュージシャンやプロデューサーが参加し、無数の試行錯誤を行い、その上澄みだけを集めたものが、一枚のアルバムになっているからです。(最新のアルバムは、日本で制作作業の一部が行われたからか、RADWIMPSの野田洋次郎さんもアレンジに参加しています)
さて、なぜそんな莫大なコストをかけて、豪華な音楽を作ることが可能なのでしょうか。それはもちろん、世界中の人が聴くからです。世界中の人に消費され、たくさんの収入が予想されるから、莫大なコストを投資することができる。言ってみれば、莫大な制作コストを大量の消費者で割り勘しているとも言えます。
こうした構造は「規模の経済」ということで、当然あちこちに見られます。ユニクロの生地(ヒートテックやエアリズムなど)が、あの値段でものすごく機能的なのも。東京メトロが、あの運賃で都内をくまなく運んでくれるのも。インデックス投信があんなに安い信託報酬で運用されているのも。全て同じ構造です。固定費を、膨大な数の人間で割り勘することで、本来ひとりでは手が届かなかった豊かさが、手の届く場所に来る。規模こそが豊かさの源泉であり、ソリューションなのです。
そして、規模こそがソリューションであるとき、規模を追求するために多額の資金を調達する必要性が生まれます。
規模以外がソリューションの場合、もちろんそのソリューションを実装するために一定の初期投資は必要です。しかし、それ以降については、需要のある範囲で自然に成長していけばよい、ということになります。
一方、規模こそがソリューションである事業は、規模を実現した先にしか、その課題が解消した姿はないのだから、ずぶずぶと資金を投資していく必要があります。先に規模を取ったプレイヤーが固定費を圧倒的に安く割り勘できるようになり、それだけの投資なくしては実現できなかったクオリティを提供できるようになり、社会全体が豊かになります。
そのため、現時点では同じような事業に見えても、エクイティストーリーとしては全くの別物になることがあります。
もちろん、色んな挑戦があってよく、小さく始めて、一定の初期投資を集め、社会に望まれるペースで育てていく事業にも意義があります。創業者や投資家もリターンを得られる可能性はあるし、周りの人を豊かにするでしょう。
しかし、規模こそがソリューションである事業は、みんなで大きく投資しない限り、永遠に実現しない豊かさを新たに社会にもたらします。それは国全体を非連続的に豊かにすると思います。
※ 本ニュースレターの内容は個人的な見解であり、何らかの組織の意見を代表するものではありません。
万代 惇史(まんだい あつし)
マネックスグループ 執行役員(新規事業)/ マネックスベンチャーズ代表
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